〇 今日の一献 今日、若鳥の巣立ちかな

―― ツバメの若鳥の巣立ち

 今度は、頭の中でカチッと音はしなかったが、この画像を整理していて、ふと思い出したフレーズがある。

 生きているのも、相当長くなると、新しいことはなかなか覚えられないものだが、古い記憶というものは頭の中の深いところの奥底というよりも、けっこう浅いところに、幾つもの小さい引き出しが自分の中にあって、いつもはそこに蓄えられているように感ずる。
 だから、その時々の新しい刺激の入力に連動して、関連する引き出しの留め金が外れて開き、急に古い記憶が蘇るような錯覚を覚える場合が、最近ではとみに多くなった。
 
 で、今回はこれだ。
 「花匂う、今日、若鳥の巣立ちかな」
 「今日、若鳥の巣立ちかな」、「昭和36年、3月20日、僕たち、わたし達の卒業式」。

 もう卒業式の季節なぞとっくに過ぎたはずなのに、急に突拍子もないことを言い出したと思われるだろうが、これはわたしの小学校の卒業式で、そのとき児童全員で「呼びかけ」をした時の、出だしの部分だ。
 
 小学校を卒業してから、もう何十年が経つだろうか。

 前書きが長くなったが、この時の呼びかけのフレーズにあった、「巣立ち」という言葉が、今からお話しする「ツバメの巣立ち」に連動したのだ。

 ツバメは、春から夏にかけて日本などの北半球で繁殖し、秋には赤道近くの国に渡り冬を過ごす渡り鳥だという、せいぜいわたしの知識はその程度だ。
 そういえば、昔、日本が冬の頃に訪れた、タイ、バンコクの紅灯の巷(歓楽街)、パッポン通りやタニヤ通りの夕暮れの電線には、たくさんのツバメが留まって鳴き騒いでいて、糞をかけられるのを避けながら歩いた記憶がある。

 6月の初め、仕事帰りの道すがらのとある商店の駐輪場の軒下に、まえからあったツバメの巣にヒナがいることに気がついた。
 店の親父さんに言わせると、偉いもので、ここ何年か続けてこの巣に帰ってきて、ヒナを孵して巣立っていくそうだ。

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 いつの頃に生まれたのかはわからないが、ヒナ特有の「くちばしが黄色い」。大きな口を開けて、精一杯の声を張り上げて親にエサをねだる。(6月4日)

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 親鳥は、雌雄、代る代るエサを運んできては、ヒナ達に均等に与え、またエサの捕食に忙しく飛び去る。
 いつも鳴いていてはヒナも疲れるのか、親が巣を離れたときは、休息とエサの消化時間で、腹が減るまでは静かにしている。(6月7日)

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 多分、この頃が親鳥にとっては最もエサの採取と施餌に忙しい時だろうと思う。親が飛び去る時も、皆で見送るというよりも、早く次を持って来いと言わんばかりの大合唱となる。(6月7日)

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 親の帰りを待つヒナたち。4羽だと思っていたが、6羽であることがわかった。だいぶ大きくなってきたが、まだ産毛が残る。(6月12日)

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 もうほとんど産毛が抜けて、若鳥の体となったが、まだ親鳥からエサをもらうしか術がない。
 アップで撮影したが、ぬいぐるみのようで一番可愛いい時だ。(6月14日)

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 ヒナの体が大きくなって、巣が狭くなったこともあるだろうが、巣立ち前の行動として、ヒナが頭を中にして並ぶ(尾が巣の外にはみ出て見える。)行動を見せる。(6月15日)

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 ヒナは、もうそれぞれ立派に育っており、今にも巣から飛び立ちそうな気配を見せる。親鳥は巣立ちを促すためか、もうヒナにエサを与えなくなる。
 この、巣の端に揃って並び始めると、巣立ち直前行動だそうで、ものの本では、「雛の登檣礼(とうしょうれい)」というそうだ。いずれにせよ、若鳥にとっては、この巣はもう狭すぎる。巣立ちは時間の問題だ。
(6月18日)

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 人間社会とは違って?、「一度巣立つとそれっきり。恩も義理もないのが野生の世界」と聞いていた。
 だから、もう巣立って行ってしまって一羽も居ないだろうと思っていたら、中には夕方になると巣に戻ってくる若鳥もいるようだ。(6月20日)

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 さすが次の日には、すべてが飛び去っていた。(6月21日)
 ここでは、蛍光管を土台にして営巣してしまっているので、店主は何年来、蛍光灯を新しく取り換えないでいる。夜は別の場所からの明かりがあり、それなりに理想的な恵まれた場所なのだろう。


 ところで、ツバメの巣は、泥と枯草などを唾液で固めて造るのが普通で、天敵のカラスなどが近寄りにくい民家の軒先など、人が住む環境と同じ場所で繁殖する。だから、ビルなどに営巣するときでも、2階以上でなく1階の軒先に営巣するようだ。
 通常は新しく巣を作るが、この例のように、古い巣を修復して使用することもあるそうだ。
産卵は、4 - 7月ごろに、3 – 7個を産卵し、抱卵日数は13 - 17日で、主としてメスが抱卵する。その後の巣内での育雛日数は、20 - 24日で巣立ちを迎えるそうな。

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 参考として。この画像は、別の場所で、ビルの1階の換気口の上に営巣したもの。
 両方の親鳥が、同時にヒナに施餌している場面が珍しい。エサとなった、トンボの翅が見える。(6月2日)


 さて、後日談であるが、ヒナの子育て、巣立ちもようやく終わったのだと思って、ホッとしていたある日、この店を通りかかって、ふと気になってあの巣を覗いたら、また親ツバメが巣に入っていた。

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 前回と同じメスのツバメだろうと思われる。抱卵しているのだろうか、わたしの姿を見ても動じる風がない。

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 また、すぐ傍らの電柱には、オスだろうか、巣を見守っているかのようなそぶりを見せて、こちらも動じないでいる。(6月28日)


 実は、昨日(7月24日)の夜、巣を覗いたら、親鳥が居ないなと思ったら、代わりにまたヒナが孵って巣の中に居たので驚いた。

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 資料によれば、1回目の繁殖の巣立ち率は概ね50%程度と推定され、また相当数のつがいがその後2回目の繁殖をするというのだが、、、、。
 しかし、よほどこの場所が気に入ったのか、それともこのつがいの繁殖力が特に強いのだろうか。
 
 いずれにせよ、わたしは、このつがいに対して脱帽することにした。

(なぜなら、先に話した別の場所のビルの軒下の巣は、5か所あったが、初めの巣立ち以来も毎週土曜日の午前中に観察してきたが、このところ再度営巣する気配はないからだ。)

 最後に、巣立ちを終えたヒナや親鳥は、河川敷や溜池の葦原などに集まり、数千羽から数万羽の集団ねぐらを形成して生活し、秋になると、順次南方へ渡りをするという。


〇 ところで、「花匂う、今日、若鳥の巣立ちかな。昭和36年、3月20日、僕たち、わたし達の卒業式」の「呼びかけ」については、またその季節が近づいたころにお話しすることにしよう。
 
  また、このところ、別のところで浮気をしていたので、一か月ほどブログの掲載ブランクがあったが、また真面目にゆったりと続けていきます。

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