〇 今日の一献 紳士の国から来て、戻っていった、ローライフレックス その2

―― ローライフレックス3.5F(1958年-1976年製造)

 もうそろそろかなという頃、ある日勤めから帰ると、パートナーの冷たく睨む目の出迎えで、下駄箱の上に載った茶色のダンボールの箱に気がつき、ようやく待望の品物が遥々英国から届いたことを知る。

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 鞄を持った空いたほうの腕に包を抱いて、会話を交わさないように避けながらそそくさと階段を上り、身なりも解かないまま急いで自室に籠る。早速、ハサミを使い丁寧に幾重にも包まれた緩衝材で包まれた包を開いて、カメラを取り出す。

 確かに、eBayの写真で見た通りの使い古されたローライフレックス3.5Fだ。

 出品者は、機能は問題なくノーマルと言っていたが、まずベランダへ出て、ピントレバーを無限遠に合わせてからピントフードを開けて覗いて、夜目にもフレンネルレンズに写る、遠くの名古屋駅ツインビルの赤い航空標識灯が、はっきり見えるかどうかを確かめる。

 次に、部屋に戻り、絞りが動くか、そして巻上げレバーを何回も回して、シャッタースピードを変えながらシャッターを何度も切って変化を確かめる。絞りとシャッターのノブの動きが少し重いのが気になるが、機能には問題はないだろう。ゴッセンのセレン露出計は、生きていた。

 最後は、レンズだ。
 ローライフレックス3.5Fの撮影レンズは、プラナー75mmF3.5またはクセノター75mmF3.5を装着しているが、このローライの場合は、カール・ツァイスのプラナー、Nr2982769が付いている。
 撮影レンズのコンディションを目で確認するためには、まずシャッタースピードを開放(B)にし、絞りを全開放にダイヤルを合わせる。そしてシャッターボタンを押すわけだが、この場合、シャッターレリーズを付けてストップさせる。(星野写真を撮るときに、使う方法と同じだ。)
 こうすると、シャッターが解放状態のままとなる。(一昔までの蛇腹カメラのシャッターでは、撮影前にピントグラスでピントを確認する必要から、開放のT(Z)の機能があったが、距離計などの発達でT(Z)が無くなった。)
 こうして素通しで見えるようになった撮影レンズを、フイルム室のふたを開けて前から、後ろから光にかざして観るわけだが、なにやらこのレンズはおかしい事に気がついた。正面から見たときの第1面レンズの表面が白いのだ。

 カメラのレンズは、色収差とか非点収差とかいろいろ克服すべき光学上の課題をレンズの形と枚数で設計してクリアーしている。だから優秀と言われた、テッサーレンズでも3群4枚を使っているが、それより新しいこのプラナーでは、レンズは4群5枚が使われている。

 第1面のレンズは、いつも外の世界と触れているので、付いた埃や汚れを拭き取るときなどに表面を傷つけやすい。しかし、少々の傷なら、それが例えかなり深いものでも、第1面のレンズは入射光を受け入れる働きが主であるから、よほどのことがなければ後群のレンズが上手くやってくれる。(しかし、像を結ぶ後群のレンズが傷ついている場合には、画像のダメージはむしろより大きい。)

 しかし、これは汚れを拭き取るときに、その汚れでレンズを磨いてしまったようで、本来透明なはずのレンズのかなりの面積に円形に白く傷が残っていて、言ってみれば磨りガラス状態になってしまっているのだ。これでは入射光は、入射の時点で散乱したままに入射するよりも反射するほうが多くなるだろう。人間の目の病でいうと、レンズが白内障となっているのだ。

 残念ながら、これではこのカメラで撮影した写真は、どう撮っても眠たい画像しか撮れないだろう。

(撮影レンズに問題なければ、フレネルレンズをはずして、フイルム面に置いてピントのチエックもするところだが、それをするまでもないので止めた。)

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 夜の電灯の光の下での確認だけではだめだろうと、一縷の望みを込めて翌日明るい場所でもう一度確認し、デジタルカメラでレンズの状況を撮影した。

 やはり、昨夜確認したとおりだ。

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 クレームの説明のため、より拡大して、撮影した。

 昨夜、機能とレンズなどの確認がクリアーできれば、いつものように本体全部の汚れを取ってから、金属部分もきれいに磨き上げてあげる楽しみの時間となるはずであったのだが、、、。

 こうして、これがわたしにとってeBayオークションの初めてのクレームとなった。

 まず、メールで、①確かに落札物を受け取ったこと。②出品者は、この出品物の説明で、機能しておりノーマルと説明していたが、ところが撮影レンズが添付画像の通り傷が多くて白濁しており、置物にはなるがとてもノーマルに使用できない物であること。③従って、返品するので、わたしが支払った額を返金してほしいこと。を書いて送った。

 すぐに返事が来て、①わたしのクレームは残念だが、代金は返金するので、品物を返送してほしいこと。②ついては、わたしの銀行口座を知らせてほしいこと。を言ってきた。
 わたしは、少し大丈夫かなという思いが頭をよぎったが、彼の言うままに、送られてきた包装材をそのまま使って返送し、振り込み口座をメールで伝えた。
 しばらく経って返送の物が着いたのだろうころ、銀行から通知があって、英国からわたしの口座に振り込みがあったことを伝えてきた。口座を確認したら、その金額は落札額に送料を含んだ額だった。

 早速わたしは、彼からの送金をわたしの口座で受領したことを伝え、「英国は、紳士の国であると知っていたが、わたしの娘に話したらさすがフェアな英国人だと驚いていた。」とメールで書いた。
 彼からは、「わたしはこれからも、かくありたいと思う。」と言ってきた。

 わたしは、この取引の最後の仕上げとして、eBayの彼の評価でFeedbackを「丁寧で迅速な対応に満足している。」と書き、評価を『Positive』とした。

 さて、オークションサイトを使った取引をめぐっては、様々なトラブルの発生が伝えられており、今回のわたしの場合のように、幸いにして出品者が自らの非を認めてフェアな対応をしてくれるとは限らない。まして、異国人との取引では、文化や思考の違い、言語の壁などから、心配が付きまとうのではないかと心配するのは普通の心理といえる。
 しかし、その優秀な技術で一時代世界を席巻したドイツカメラは、精密機械として世界に輸出され、世界の人々に使われてきたわけであるからこそ、世界に今も残っているものを世界を相手に取引することの面白さは、これに関るリスクを上回るものとさえわたしには感じられるのだ。

 日本では有力なYahoo!オークションサイトを見ていると、わたしのeBayの場合と同じく、出品者サイドの出品物の説明の巧拙がトラブルが発生するかどうかの第一原因であるような気がする。それと、出品者が指定した送料に対して、いざ落札物が送られてきたときに、かかった送料との違いが、落札者には些細な額にもかかわらず納得できないものとしてクレームとなり、場合によっては変質狂的な罵詈雑言の応酬に発展したりしているのを観るとき、つくづく日本人の精神の繊細にして精密さ故からなのだろうかと思う。

 海外のオークションの場合、送料はあくまで目安で、為替の変動で支払う日本円の額は変動するし、ある部分わたしは、おおらかさというか自分の余裕感を残せる範囲の額で楽しむことにしている。

 日本のオークションは、お互いが精密で安心で気楽で、その上スピーデイではあるが、その反面、スタート価格や最終落札額が高くなるきらいがあり、確実性はそれなりに担保されるだろうが、わくわく感も無く面白みに欠けるような気がしている。

 もうひとつ、日本では、「クレーム」と「文句」の語用と意味が混同されているような気がする。相手を説得でき、納得させることのできる正当な主張は、クレームであり、欧米では理解される。


〇 ローライフレックス3.5F(Rolleiflex 3.5F)
 1920年に設立されたドイツのカメラメーカー、ローライ(Rollei-Werke Franke & Heidecke GmbH )が、1958年から1976年まで製造した二眼レフカメラ。(二眼レフカメラとは、ファインダーレンズと撮影レンズの2個のレンズが上下に連なっているカメラで、略して二眼レフともいう。)
 ローライ社は、世界で初めて6×6cm判二眼レフカメラを製造したメーカーで、世界中で高い評価を受けているドイツのカール・ツァイスやシュナイダー・クロイツナッハ製のレンズを装着していることから、信頼性があり人気が高い。ローライの二眼レフには、1929年製造のローライフレックス・オリジナルから各種の機種があるが、特にローライフレックス3.5Fは、ローライ二眼レフの最高峰となる機種で、製造期間の18年間に5つのモデルがある。
 レンズは、プラナー75mmF3.5またはクセノター75mmF3.5を装着し、1965年からは、切換機構を付けて220フィルム(24枚撮り)にも対応した。
 日本では、1950年から二眼レフブームが起こり、このローライ二眼レフカメラのコピー製品が数多く製造された。

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〇 今日の一献 紳士の国から来て、戻っていった、ローライフレックス その1

―― ローライフレックス3.5F(1958年-1976年製造)

 インターネットのオークションサイトの「eBay 」(イーベイ)をご存じだろうか。

 日本の個人向けの「Yahoo! オークション」や「楽天オークション」と同じだと考えていただければよい。しかし、Yahoo!や楽天が、国内向けの個人向けオークションサイトであるのに対し、eBayは、米国を中心とした世界をネットする巨大オークションサイトなのだ。

 わたしは、古いカメラに少し興味があって、時々eBayのオークションサイトを覗いている。
 ある日、英国人からの二眼レフのローライフレックス3.5Fの出品があったので、注意して見ていた。彼のこれまでの出品歴は20件ほどで、評価の経歴には特に悪いクレームもないようだから、まあ信用してもよいだろうと考えた。

 彼の家の居間に置かれているだろう、紫のチェックのテーブルクロスが掛ったテーブルの上で自然光で撮影した、3枚の素人写真がこの出品物のコンディションを説明している。(自然光下で撮影されているので、ピントはともかく、画像にシャープさがない、ねむたい画像だ。)

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 この3枚の画像は、出品者がオークションにアップしていたものだ。
 カメラ本体とストラップ付きの専用ケースに、モノクロ写真で使うレンズ保護を兼ねた黄色のフイルターが、今回の出品物の全てだ。

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 ローライフレックス3.5Fの正面と向かって左面にある、ピントノブ兼用のセレン露出計を示すように撮影したのが、2枚目の写真だ。
 出品者の説明には、本体やレンズのシリアルナンバーが記述されていないが、カメラのストラップを付ける金具の下に、後期モデルでは省略された傷防止の半月型の板があることから、このモデルは、前期モデルに違いない。
 本体上のフードや銘板、レンズの付いた繰出し面の角は、塗装がかなり擦れてアルミ地金が出ているところがある。かなり使い込まれた証拠だ。

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 カメラの背面と巻上げレバーの付いた、正面から向かって左面が写っているのが3枚目の写真だ。
 こちらもかなり使い込まれて、塗装がかなり擦れてアルミ地金が出ている。

 出品者の説明では、機能は問題なくノーマルということだった。

 それで、ビット(入札)を入れることにした。
 数人の競争者があったが、わたしが最後に落札した。

 落札すると、出品者へわたしのメールアドレスが通知されるので、彼から自分の名前や送金先、日本までの航空便送料など取引に必要な事項を書いたメールが送られてきた。
 送金は、郵便局で落札額プラス送料のGBP(英国ポンド)の国際送金為替(manetary order)を作って、そこで通信文とともに封筒に入れて航空便で指定の住所に送った。その後に、メールで送金した旨を出品者へ通知する。
 7日もすれば英国に着いて、出品者から送金を受け取り、落札物を発送したとのメールが来る。

 この落札した時から落札物が届くまでの間が、わくわくしながら待つ時間となる


〇 インターネットオークションサイトeBay(イーベイ)
 eBayは、1995年9月、アメリカカリフォルニア州サンノゼで設立された、ネット通信販売やインターネットオークションを手がける会社で、インターネットオークションでは1997年半ばには1日当り約80万のオークションを処理し、1998年までには100万人以上の利用者を獲得するまでに成長し、世界最多の利用者を誇る。
 日本へは、2000年に進出したが、先行していたYahoo!オークションに太刀打ちできず、会員が集まらなかったこともあって2002年3月に撤退した。現在、世界28カ国に拠点を広げ、正規登録者数2億3,000万人、出品点数10数億点の地球規模のインターネットオークションサイトに拡大しているという。

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〇 今日の一献 無い物強請り。唯一の、に惹かれて

―― 桜の時、静岡県大井川鐵道のC108

 近頃は、なんでもある豊かな時代で、時間とお金があれば欲しいものはほぼ何でも手に入るし、見ることができる幸せな時代だとつくづく思う。

 静岡県の大井川鐵道では、C10型蒸気機関車の唯一にして最後の機関車が、それも客車を牽いて走っていると聞いて、桜咲くころ出かけてみた。
 なぜ、唯一にして最後かというと、C10形蒸気機関車は、1930年(昭和5年)に製造された、旧国鉄のタンク式蒸気機関車であるが、製造はたった1回だけの23両だけだったし、大井川鐵道のC10形8号機以外のC10形蒸機は、廃車後にすべて解体処分されて他にはもうないからだ。
 
 大井川本線下りを走る蒸機は、新金谷の始発で終点千頭までの所要1時間14分の短い旅であるが、今回は、C108の牽引する「かわね路1号」が途中停車する家山駅から乗車することになった。
(前回の大井川鐵道の旅。リンクは、『タイから帰還して活躍する、大井川鐵道のC5644』)

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 家山の町(静岡県島田市川根町家山)

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 「家山」駅は、1929年(昭和4年)12月1日に開業した駅で、旧川根町の中心地、静岡県島田市川根町家山にある。

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 家山駅には、留置線が2線あり、ホームは島式1面2線となっている。ホームは、駅舎と構内踏切でつながっている。
 家山地区は、桜の名所として有名だが、家山駅構内にも立派な桜の並木がある。この駅は、大井川本線の全列車が停車するので、確実に列車の発車を撮ることができる。

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 桜並木と元近鉄の16000系特急車。
 ワンマン化改造が行なわれた以外はほぼ近鉄時代のまま。3編成が在籍し、大井川本線の主力となっている。

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 C108牽引の「かわね路1号」がやってくる。家山駅の桜並木がよく似合う。

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 どんどん近付いてくる。C10形蒸機はデフレクター(煙除け板)を付けていない。

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〇 C10 8は、唯一のC10形の現存機で、動態保存として1997年(平成9年)10月から大井川鐵道で保存運転を行っている。
 1930年川崎車輛の製造で、1962年(昭和38年)に会津若松機関区で廃車になった後、岩手県宮古市のラサ工業に譲渡され、同社宮古工場専用線で鉱石運搬に使用されていたが、専用線の廃止後は、宮古市内の臨港線で「SLしおかぜ号」として保存運転が行われた。
 その後、大井川鐵道へ1994年(平成6年)に譲渡された。これ以外のC10形は廃車後、すべて解体処分された。

 
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 昭和5年の川崎車輛製造のプレートが見える。

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 列車内の昼食のお弁当。「大井川ふるさと弁当」絵葉書付。

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 短い編成では、列車の先頭の蒸機を入れようとしてもなかなか難しい。

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 茶畑と満開の桜、そして大井川を望ながら、列車は進む。

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 「川根温泉笹間渡」駅近くには、大井川鉄道本線が大井川を跨ぐ4つの橋梁のうち最長の大井川第一橋梁があり、蒸機の撮影ポイントとなっている。
 しかし、それより有名なのは、橋梁の笹間渡側には1994年に開業した川根温泉があり、「SLの見える温泉」として多数の入浴客が訪れる。

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 「下泉」駅
 この時は、蒸機列車の停車駅だった。しかし、2011年10月のダイヤ改正で、現在蒸機列車は全列車通過となっている。
 (一部訂正しました。hmdさん、わたしの勘違いをご指摘いただき、ありがとうございました。20111230)

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 この列車は、京阪時代には、「テレビカー」という愛称で親しまれていた元京阪本線の3000系特急車。軌間が違い、京阪から車体だけ譲り受け、台車は営団地下鉄(現在の東京メトロ)5000系のものという。

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大井川の流れの一番広い場所にある、塩郷ダムの堰堤

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 大井川鉄道本線の終点、「千頭」駅に到着した列車。
 この後、機関車の転線を行う。
 「千頭」駅は、寸又峡・井川方面への玄関口となっている。


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〇 C10形蒸気機関車は、1930年(昭和5年)に製造された、旧国鉄のタンク式蒸気機関車。
 製造は1930年に1回だけで全23両が新製された。運転室および石炭庫の真下に位置する従台車を2軸とする1C2形(先輪1軸+動輪3軸+従輪2軸の意味)を採用し、軽荷重の区間列車牽引時には95 km/hでの高速運転した。
 電気溶接が一般化する前の時期に設計されたため、運転台や側面の水タンクなどはリベット組み立て構造となっており、外観上重厚な印象を与える。
 なお、除煙板が制式採用される以前の設計であるため、除煙板を装着していない。
 •全長:12650 mm  •全高:3885 mm  •動輪直径:1520 mm  •総重量:69.7 t  •燃料搭載:3 t


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テーマ : 鉄道写真
ジャンル : 写真

〇 今日の一献 月見は秋に決ってる。しかし、冬では寒すぎる。

―― 12月10日深夜の皆既月食

 満月が地球の影に隠れる「皆既月食」が、10日の深夜に全国各地で観測されると聞いて、これは何かしなければならないのかなと、ずっと考えていた。

 しかし、この季節、外は寒いし、若いころとは違って、わざわざ月食ぐらいで今更郊外へ出るのも億劫だしと思う。それに、今夜のこの地方の空は、丁度月があるところに厚い雲が広がっているから、今回は、どうせ見えないだろうと考えた。

 そのうち午後9時すぎのニュースで、今夜は好天に恵まれ、2000年7月16日以来、11年5カ月ぶりに東京では欠け始めた月がよく見えると、調子よく煽り出した。皆既発生は、午後11時過ぎだという。

 それでおもむろに櫓炬燵から這い出して、窓の外を見ると、天頂近くのろのろと過ぎていく雲の切れ間の時々に、欠け始めた月がたまに見えるようになったようだった。
 見えるなら、それでは仕方がないかと腰を上げ、ジッツオの脚を伸ばして、ダメもとの撮影だからと物ぐさに、いつも使っているデジタルLUMIXのDMC-TZ3を雲台に載せた、三脚だけは立派な出で立ちでベランダに出てみた。

〇 リンク ―― いまどきの、、、デジタルカメラの性能の驚き

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 雲の切れ間を縫っての撮影。もうかなり欠けている。
 12月10日 22時43分

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 ほとんど欠けて、皆既月食前。
 23時02分

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 皆既状態。肉眼では赤く見えても、カメラの性能の限界で、ここまで。
 23時26分

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 皆既が終了し、今度は左から復元が始まる。光の加減で、欠けた影の部分が赤く見える。
 0時09分

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 7割ほど復元した。このカメラでも、復元した部分の解像は良くできている。
 12月11日1時02分

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 完全復元した、満月。
 1時48分

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 今から39年前の、1972年(昭和47年)1月30日にも皆既月食があり、その時は、当地方では快晴で、ひどく寒かったが観測はできた。
 その時は、午後6時ころから食が始まり、7時半過ぎから35分ほどの皆既月食となり、午後9時半には完全復元したという記録がある。

 この画像は、わたしがその時撮ったもので、食の始まりから欠けていく過程を、二眼レフのヤシカDの多重露出で撮影している。(皆既とその復元の過程は、三脚が動いて失敗した。)

 今年は、6月16日にも皆既月食があり、1年間に皆既月食が2回という、珍しい年となった。
日本国内で見れる次回の皆既月食は、2014年(平成26年)10月8日に発生することが予測されている。それにこの年の4月15日には、部分月食もあるそうだ。
 なお、近いところでは、来年の2012年6月4には、部分月食が予測されている。


〇 月食(英語: lunar eclipse)とは、
 地球が太陽と月の間に入り、地球の影が月にかかることによって月が欠けて見える現象のことで、月が望(満月)のときに起こる。
 日食と違い、月が地平線より上に見える場所であれば地球上のどこからでも同時に観測・観察できる。月食は多くの場合、1年間に2回起きるか起こらない年もあり、たまに3回起こる年もある。21世紀中の100年間では、合計142回(皆既月食85回、部分月食57回)発生するということになっている。
 皆既月食中の月は、赤銅色ともいわれる赤っぽい色をしている。それは、月が地球の影に入っても地球の大気によって屈折や散乱された太陽光が、月面をうっすらと照らすために完全な真っ黒にはならないし、赤くなるのは、朝焼けや夕焼けの原理と同じように、波長の長い赤い光の方が大気中を通過しやすいからだという。


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デジタルLUMIXのDMC-TZ3

テーマ : 月の写真
ジャンル : 写真

〇 今日の一献 可能性を拡げるパノラマ写真のすゝめ  その4

 ―― デジタルカメラはパノラマ写真を身近なものにした。

(4) 狭い部屋や全体が入らない場所での撮影(狭いところでは、後ろに下がれない。)


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  ① 名古屋港の結婚式場の披露宴会場

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  ② 三重県桑名の諸戸家の六華園レストラン

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  ③ カンボジアのアンコール遺跡のデバーダ像

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  ④ 岐阜空穂屋の天井から下がる創作吊るし雛

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  ⑤ 三重県立芸術劇場の子供ピアノ発表会

  
〇 360度の全周パノラマ写真など、少し高度な楽しみ方
 ここまで、わたしの撮影したパノラマ写真を見てきて、すでに感じていらっしゃると思うが、もっと面白いものを撮りたいとか、もう少し高度なことができないかとか、いろいろアイデアをお持ちになったのではないかと思う。

 まず、山に登って山頂に立つと、360度の眺めが楽しめるが、これを全周パノラマ写真に撮る場合は、撮る枚数が増えて身体も一回転しなければならなくなるので、アングルが保てず、今までの手持ち撮影では少し失敗の可能性が高まる。

 こんなに場合は、三脚と水準器を使用して、水平アングルを確保しながら、景色の一コマ一コマを慌てないで三脚を中心にゆっくりと身体とカメラを回転させながら等間隔で撮影していけば、確実によい画像が手に入るはずだ。あとは、先ほどのパノラマ合成ソフトで合成処理すれば、360度の全周パノラマ写真ができ上がる。

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  〇 夏の立山室堂のお花畑と立山の峰々(全周パノラマ写真)

 他にパノラマ写真の楽しみ方として、改修や家具などの入換え前の自分の部屋や自宅の居間などを記録として撮っておくとか、自宅周辺の家並みや街の姿を記録しておくとかして、その変遷を知るのも面白いだろう。

 また、干潟に来る季節の渡り鳥の姿の望遠クローズアップ写真も楽しいが、干潟に飛来したそれぞれの種の群れ同志や天敵種とが、どのような(友好・緊張)関係で餌を捕食しているのかもパノラマ写真では判るかもしれない。

 駅に停車した列車を撮影するとき、場所が許されるならだが、ホームの端から端まで移動しながら列車を撮影すれば、遠近関係のない先頭車両から全て同サイズの編成写真が手に入る。

 空気が澄んで星空がきれいな場所で、忍耐力があれば、全天周の星野写真の撮影に挑戦してみるのも夢ではない。

(了)

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