FC2ブログ

〇 これが優曇華(うどんげ)の花とは



 ――クサカゲロウの卵 

 ピンポーンと玄関のチャイムが鳴って、モニターを見たら、隣の老婦人のニコニコした顔が見えた。

 玄関に出て行くと、お盆で作ったとオハギを持っておいでになったとのことで、思わぬ到来物に喜んだ。

 だが、次にお願いがあるとのことで、何かと思えば、自宅の玄関で珍しい「優曇華の花」が咲いたので、カメラで撮ってほしいとのこと。

 優曇華とは、はじめて聞く花の名で、お安い御用とカメラを持ってご婦人の後を附いて行ったものの、わたしが、玄関先でどこに花が咲いているのかと戸惑っていると、ご婦人がこれと指差したのが、玄関ドアの鉄枠にポツポツと糸を植えつけて、その先に1mmほどの白い米粒様のものが付いている風情のもの。

00-P1300696.jpg

00-P1300697.jpg

 どこかで見たことがあるなと記憶をたどりながら撮影していると、後ろでご婦人の解説が始まった。

 長くなるので要約すると。

 これはクサカゲロウの卵で、メスが腹から出した糸の上に卵を産んだもの。

 優曇華の花とは、もともと3,000年に一度咲くといわれる仏教の経典『金光明経』に出てくる架空の植物で、咲くのが「滅多にないこと」だから珍しく、古来インドでは吉兆、不思議と日本では凶兆とされているとのこと。

 クサカゲロウは、普通はアブラムシを食べるから植物の小枝などに産卵し、その姿の珍妙さと見落としがちな小ささから、滅多に見られない植物の花として、「優曇華の花」と呼ばれるようになったようだ。

00-P1110678.jpg

 どこかで見たとの記憶をたどって、昨年の画像ファイルを探してみたら、2018年6月15日に自宅の庭で撮った親のクサカゲロウの画像が見つかった。

 我が家でも見かけたかもしれないけれど、きっとこの時は、親と卵を関連付けすることなく撮影しなかったに違いない。

 ともあれ、撮影してから家に帰って早速プリントして持参し、改めてオハギがおいしかったことのお礼を申し上げたのは言うまでもない。






わが家の庭で羽化盛ん クマゼミの羽化とニイニイゼミ

  ―― 神秘的な営みと託された者の責任 

 わが家の玄関先にある金木犀で、今夜もクマゼミの神秘的な羽化が静かに進行している。

 7月の初旬に初鳴を聞いてから、先週は羽化の途中で凶暴な蟻の集団に集られて、哀れにも失敗して落ちて死んだ姿を2度ほど見た。
 しかし、このところ朝になって新聞を取りにいくと、小枝の先に羽化した後の抜け殻を、幾つか見られるようになってホッとしている。

 また先日は、近ごろ珍しいニイニイゼミの羽化が見られたが、今夜はクマゼミの羽化が見られた。


● クマゼミの羽化の進行

000-P1300524.jpg

 午後になると、土中から這い出た幼虫は、羽化に適した場所を求めて木の幹を上へ上へと登っていくのが見られる。

 その動きの緩慢さに、思わず頑張れと声をかけたくなるのだ。

000-DSCF5520.jpg

 羽化に適した場所を見つけると、すべての足を動員して逆さまに位置をとり、しっかりと足場を固定してから動かなくなる。やがて日没後の鳥などに襲われない暗闇になるのを待って、まず幼虫の背が縦に割れて羽化が始まる。

00-DSCF5555.jpg

000-DSCF5560.jpg

 羽化を始めた成虫の身体は柔らかく、殻から頭を先にして、重力を利用しながら濡れた柔らかい身体を繰り出してくる。

000-DSCF5575.jpg

 ほとんど殻から身体を抜け出した状態。
 翅はまだ小さく折り畳まれたままだ。

000-DSCF5583.jpg

000-DSCF5589.jpg

 今度は身体を起こして殻につかまり、重力を利用して翅を下に伸ばしていき、羽化が終了する。

 そのあとは、日の出までの長い時間をかけて、翅や身体が乾いて、それに伴い外骨格が硬化するのを待つだけになる。

000-DSCF5608.jpg

 この時期、こんな神秘的な出来事が、このところわたしの家の玄関先で静かに行われているのだ。

000-DSCF5603.jpg

 この時には複数の羽化が同時に進行した。

 親セミが、木に産みつけた卵から孵った幼虫は、地中に潜ってから8年を地中で過ごすとされる。

 だから8年後に、子供たちが羽化できる環境の保持を、母ゼミがわたしたちに託してここに卵を産んでいったのだとすれば、きっとわたしたちは、その信頼に応えなければならない責任があるのだろうと思う。

 ともあれ、この神秘的な営みの観察・撮影には、ゆっくりと流れる時間につき合う忍耐と、身体を蚊に喰われてかゆい思いをする苦行を克服することを要するのだ。


● 久しぶりに見つけた 羽化したニイニイゼミ

 話は前後するが、先日の初鳴きから10日ほど経ったから、もうそろそろどうかなと思いながら、その夜は庭のオオマツヨイグサ(月見草)を撮影した後、懐中電灯の光を頼りに玄関先の金木犀の幹の辺りを探してみた。

 あった。
 そして、居た。

 初めに木の根元近くに見つけたのは、見慣れたクマゼミやアブラゼミに比べれば、本当に見過ごしてしまうような目立たない小さな抜け殻だった。

 改めて見直すと、その少し離れた上に、脱皮して羽化したばかりのニイニイゼミが、小さな身体を休めて動かずに留まっていた。

00-P1300367.jpg

00-P1300362.jpg

00-DSCF5495.jpg

 ニイニイゼミはわたしの幼いころには、街中の公園や神社の林などに普通に見られた小型のセミだったが、気候変動で北に勢力を広げつつあるクマゼミとは逆に、この地方では、近年なかなかお目にかかることができない希少なセミになってしまった。

 それがあろうことか、わが家の小さな庭での羽化を確認したことで、お恥ずかしながら、久しぶりにその夜は少し興奮したのだった。



〇 なばなの里の「ホタルまつり2018」に行ってきた

―― 光芒を引いて飛翔する ゲンジボタルの饗宴

 かねてから三重県長島のなばなの里では、この季節になると施設の中を流れる清流の岸に発現するホタルの観察会「ホタルまつり」が開催され、多くの観客で賑わう。

 うちのパートナーが年間パスポート会員となっていることから、わたしたちは折々の季節の花を愛でにここを訪れるのだが、今夜はゲンジボタルを観に出かけた。

 ゲンジボタルの成虫は、体長15mmほどと国内では大型のホタルで、幼虫が清流に棲むカワニナを食餌としながら生育することから、世界に分布する2000種のホタルのうち、タニシを食餌とするヘイケホタルとともに8種の水生ホタルの一つとされている。

000-20180603-05output_comp.jpg
 
 毎日午後8時に定点観測している「なばなの里」のWebサイトによると、わたし達の訪れた夜(6月3日)のボタルの発現数は、810匹だったとのことで、これは既にこのところ数年のピーク数を上回って発生しているようだ。

 (2018 発現数の推移:6/3 810匹←6/2 820匹←798←327←355←312←355←290←204匹←)

00-20180603-12output_comp.jpg

 日中は川岸の草木の葉の裏などに休んでいるホタルは、日没とともに光を点滅させながらメスを求めて飛翔を始め、午後8時ころにはピークとなり、やがて疲れたのか午後10時すぎまでには飛ぶ数を減らしていく。

 先に、5月一杯まで名古屋城の外堀で発現していた、か細く短い時間で点滅を繰り返しながら飛翔する陸生のヒメボタルは、写真に写すと鎖線の光跡となるが、6月ごろから発現する水生のゲンジボタは、力強く長時間発光しながら飛ぶ光跡は線となって残る。

0-00-20180603-04output_comp_2018060701133731c.jpg

 世界に2000種も生息するホタルは、主に熱帯から温帯にかけての多雨地域に分布するが、それぞれの場所によって発生時期や発光の仕方にも特徴があるようだ。

 かつて熱帯地方の半島マレーシアで観察した水生のホタルは、乾季には数を減らすものの年間を通じて発生し、川岸の木々に群れて留って発光を繰り返すのが見られた。

 経験的には、ホタルの発光は、しばしのインターバルを置きながら点滅を繰り返すうち、次第に周囲のホタルの発光と競うかのようにシンクロ(同調)しながら強い発光を繰り返し始めるときがシャッターチャンスとなる。

00-20180603-13output_comp.jpg

00-20180603-18output_comp.jpg

00-20180603-23output_comp.jpg

00-20180603-27output_comp.jpg

00-200-180603-03output_comp.jpg

0-000-P1110495.jpg

00-00-IMG_20180604_0001.jpg


 「ヒメを追い つづくゲンジも ホタル酔い」


 なばなの里
 三重県桑名市長島町駒江漆畑270

 「ホタルまつり」
 http://www.nagashima-onsen.co.jp/2018_nabananosato_hotaru/






〇 名古屋城外堀のヒメボタル 2018

―― 夜毎、名城の外堀で繰り広げられる華やかな光の乱舞

 天下の名城、名古屋の都心にある名古屋城の外堀は、築城当時から水のない空堀で、かつては窯業の盛んな瀬戸で生産された陶磁器を名古屋の堀川の水運で港まで運び、そこから輸出するために敷かれた名鉄瀬戸線が走っていた。

 この外堀を通る区間の東大手~堀川は、瀬戸電の「お濠電車」とも呼ばれ市民に親しまれたが、1976年(昭和51年)に廃止され、現在の瀬戸線は「東大手駅」から地下隧道を通って都心の繁華街「栄町駅」まで乗り入れている。

 名古屋城外堀のヒメボタルは、このお濠電車の廃止前後の頃、瀬戸電関係者が堀内の大津町駅周辺で陸生ホタルの群生を発見したとされ、以後ボランティアの手で保護されており、いわば都会の中でホタルが見られる全国的にも珍しい場所となっている。

000-20180524-21 output_comp

00-P1100954.jpg

 日中の木々が生い茂った外堀と石垣

00-P1100973.jpg

 ヒメボタルが見られる、日中の外堀を跨ぐ本町橋周辺
 
00-Panorama 20180522-001

 夜の本町橋周辺

00-P1100953.jpg

000-20180524-12 output_comp

 日本固有種で陸生のヒメボタルは、その名のとおり体長が7mmと、ゲンジボタルやヘイケボタルより一回り小さく、オス、メスともに発光するが、メスは翅が退化して飛べないので、飛翔するのはオスだけとされている。

 また、ホタルといえば、川辺や田圃で発生するゲンジボタルやヘイケボタルはよく知られるところだが、ひと気のない森林などに発生する陸生のヒメボタルは、一般にはあまり知られることはなく、ホタルは水生のものとの固定概念を持つかつてのわたしのような者にとっては、新鮮で驚かされる存在だ。

000-20180524-13 output_comp

 ゲンジボタルやヘイケボタルの発光は、強さがゆっくりと変化しながら飛ぶので、光跡は線となって残るのに比べ、0.5秒と短いサイクルで点滅しながら飛ぶヒメボタルの光跡は、点線になって写真に写ることになる。

000-20180524-15 output_comp

 外堀の石垣、堤上の林の中を飛翔するヒメボタルの光跡。
 毎年5月の連休以降、夜毎、名古屋城の外堀では華やかな光の乱舞が観られる。

00-P1100963.jpg

 日中の外堀の堤上の林と杣道の状況。

000-20180524-17 output_comp

 外堀のヒメボタルの発現する場所は、最初に発見されたかつての瀬戸電大津橋駅跡周辺から、年とともに移動しているかのように思われ、現在は本町橋周辺や愛知県護国神社境内で多く見られる。

000-20180524-18 output_comp

 ゲンジボタルの発光が夕刻の午後8時ごろ以降なのに比べ、ヒメボタルが飛翔し始めるのは午後10時以降から午前2時ごろと遅く、また、発生の時期は5月から6月初旬までとされ、ヒメボタルのピークを過ぎた頃から各地でゲンジボタルの発生がニュースとなる。

000-20180524-19 output_comp

 名古屋城外堀のヒメボタルの情報については、以下のボランティア団体のウエブサイトに詳しい。

 「来て!見て!名古屋城外堀ヒメボタル」
 http://himebotaru.blog.so-net.ne.jp/



00-P1100937.jpg

 日中の愛知県護国神社の境内

00-P1100256.jpg

 愛用の撮影機材。
 撮影には、三脚、電子レリーズ、レンズフードが必要。
 
00-P1100698.jpg

 NHK名古屋放送局が放映した、外堀のヒメボタルの番組。

00-P1100707.jpg

 今年の発現のピークは、5月20日の3,340匹だった。

00-P1100976.jpg

 今年の出現が、ほぼ終了した旨を告げるボランティア団体の掲示。

 なお、最近のボランティア団体のウエブサイトによると、曇り日の5月28日の深夜1時ごろの気温は20℃、湿度が72%だったとされ、ヒメボタルは全体で69匹が観察されたとのことだ。











〇 今日の一献 なばなの里の「ゲンジホタル」を観に行ってきた

―― 清流に光跡を引いて舞い飛ぶ 夏の風物詩

 三重県長島にあるなばなの里では、園内に流れる小川のせせらぎにホタルを育てているが、このところホタルの出現がピークを迎えつつあると聞いて、入園パスポートを持つパートナーとともに昨夜出かけた。

00-P1110955.jpg

 この季節、なばなの里にある清流では5月下旬から6月下旬はゲンジホタルが出現し、6月下旬から7月上旬がヘイケホタルの時期だというが、どうせ観るなら強く光るゲンジボタルがいいと誰でも思うのか、この日も子供連れの多くの見物客で賑わっていた。

00020170605-16output_comp.jpg
 
 草に留まっていたホタルがせせらぎの上を飛び始めるのは、午後8時過ぎころから。
 6月25日までは「ホタルまつり」と称して、閉演時間が午後10時まで延長されているから、先に菖蒲園やアジサイの花を愛でた後、ゆったりと園内のレストランで腹ごしらえしてから小川の岸に行って見ることにした。

000-20170605-00output_comp.jpg

 皆さんホタルをカメラに収めようと自動カメラを操作するが、手持ちのオートカメラでは撮影はなかなか難しい。
 それにカメラからオートフォーカスの赤外線を照射するから、被写体が赤く染まってしまい、わたしの撮影も影響された。
 それはいたしかたないことだが、本気でホタル撮影するなら三脚は必須となる。

00-20170605-14output_comp.jpg

00-20170605-12output_comp.jpg

000-P1110998.jpg

 飛んできたホタルを手のひらに渡してあげたのだが、きっと子供たちには良い思い出になったにちがいない。

 ゲンジボタルの体長は15mm前後で、国内のホタルの中では最大型。
 成虫は、昼には葉などの陰で休んでおり、夜になって活動し、発光して他の個体との通信をしながら出会ったオスとメスは交尾し、交尾の終わったメスは、川岸の木や石に生えたコケの中に産卵するという。
 孵化した幼虫は、清流に棲む巻貝の一種のカワニナを捕食しながら成長するので、ゲンジボタルの発生環境は清流と切り離せない関係にある。

 また、成虫は水分以外は何も食べないといわれ、蛇足だが童謡にある「ほっ、ほっ、ホタル来い こっちの水は甘いぞ、、、」という歌詞は正に正鵠を突いているのだと妙に感心したりもする。

00-20170605-24-02output_comp.jpg

 先日撮影した、名城外堀のヒメホタルの画像の光跡は点線になっていたが、強く光を発したまま飛ぶゲンジホタルの光跡は、線になって残る。
 
00-20170605-19output_comp.jpg

00-20170605-28output_comp.jpg

 夜空の星とホタルの光の競演

00-IMG_20170605_00010_edited-1.jpg

 なお、なばなの里の定点観測では、前日は454匹、6月4日のこの夜は490匹の出現があったそうで、次の日は、510匹と確実に増えている。

00-P1110957.jpg

 アジサイの花も菖蒲も、今が盛りだった。

00-P1110962.jpg











最新記事
カテゴリ
プロフィール

2011deko

Author:2011deko
でこちんの
  『いつか ありしこと。』
   のブログへようこそ!
(掲載写真は、クリックする
と、拡大写真になります。)

性 別:男性
住 居:愛知県
趣 味:ブログのカテゴリー

天気予報

-天気予報コム- -FC2-
月別アーカイブ
来場者数
検索フォーム
リンク